“今に生きる”ことに全力を尽くせ



 日頃の環境に左右されやすいセルフイメージですが、同時に、“時間の区別が゜できない”という大きな特徴があります。スポーツは一瞬一瞬の下意識とセルフイメージのバランスで結果が決まってきます。下意識(練習で培った選手の実力)はそう簡単に縮小することはないのですが、セルフイメージがその瞬間に縮小されてしまうとその実力が発揮されないことになります。



 セルフイメージというのは、我々の意識が今でなく過去や未来に飛んでいるとその影響を簡単に受けてしまうのです。そう、スポーツマンの大半は自分がプレーしているとき、過去や未来のことを考えているのです。

 例えば「さっきのシュートをはずさなければ・・・・」とか「ああしておけばよかった」などの過去に対する後悔に時間を注いでいる場合が多いのです。そうするとセルフイメージは過去と現在の区別ができなくなり、そのようなネガティブな過去への意識が現在のセルフイメージを縮小させ、どんなに実力があってもそのとき(今)のシュートを外してしまうことにつながるのです。それと同時に、我々はその思考の大半を、未来への不安にも割いています。「このシュートは入るだろうか」「この試合は勝てるのだろうか」「体力がもつのだろうか」などと考えながらプレーしているのです。



 おそらく読者の方々にも思い当たることがあるでしょう。このようにセルフイメージは現在と未来の区別ができませんので、縮小してしまう特徴があります。つまり実力が出なくなるというわけです。



 ではどうすればセルフイメージを大きく保ち、実力を発揮できるのでしょうか? 


 それは常に“今に生きる”という意識を持つことです。外したシュート(過去への後悔)や今後の展開(未来への不安)を気にするのではなく、いつも“今”するべき事をする(第5章参照)という心の習慣を築きあげることこそが勝利への意識につながるのです。そのためには、繰り返しになりますが、日頃からこの習慣をつけていかなくてはなりません。




 山王工業戦、選手生命を左右しかねないほど背中を痛めた花道は“今”こそがすべてだと宣言してコートに戻ります。(第31巻20~21㌻)が、これこそが“今に生きる”ということです。常にこの考えと行動が大切です。


 あのタイガー・ウッズのコーチも「すべてのスポーツ選手にとって最も大切なことの一つは常に一瞬一瞬“今”に集中することである」と強く述べています。一瞬一瞬の積み重ねがあなたの望む結果につながるということです。




 あなたも自分の実力を発揮したいのであれば、この生き方、考え方が大切だということをいま一度認識してみてください
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