常に“するべき事”を意識する



 “するべき事”をするということを考えるとき、あなたの目標に沿った形でチェックしてもらいたい項目について説明します。


①目標達成のための、あなたの“するべき事”は正しいものなのか。

②“するべき事”があなた自身、そしてチームでも分かっているのか?

③“するべき事”をしっかりやっているか?

④“するべき事”をするということをしっかり意識しているか?


 以上の4点をチェックしながら“するべき事”に関して考えていただきたいのですか、この4点のチェック項目についてもう少し解説してみたいと思います。



①は、どんなに頑張っても、“するべき事”が正しいものでなければ、目標達成のために“変化”できない、逆に無駄にエネルギーばかりを費やしてしまうということです。
残り2秒でのあなたの“するべき事”はいつも通りシュートすることであって、外すことをイメージすることではないのです。そのような場面で正しく“するべき事”が考えられるようになるには、日頃から自分の“するべき事”は間違えていないのか? を自問自答する習慣をつけることが重要です。


②については、チームの勝利(目標)のためにあなたが“するべき事”を理解していなければならないということです。
私がチームドクターをしているチームでは、チームとして、個人として“するべき事”の確認を、たびたび全員でします。そのたびに再確認し、理解度をより深めていくのです。


 また、正しい“するべき事”が提示され、よく理解していても、そのことを実行しなければ目標は実現しません。これが③の項目ですが、理解していなければ実現できないのと同じように、理解していてもやらなければ、結局、同じ結果になってしまいます。
“するべき事”をきっちりしないで、結果を嘆いている選手がなんと多いことでしょうか。目標が高ければ高いほど当然“するべき事”も大変なことが多いはずです。しかし、目標を決めたのはあなた自身であり、仮にそうでないにしても、そのことを理解して、その船に乗ると決めているのはあなた自身のはずなのですから(第3章参照)、それに沿った“するべき事”をするのは当たり前なのではないでしょうか? 
それに対して文句を言ったり、愚痴をこぼしているのはおかしいことです。それでは目標なんて達成できるわけがありませんし、まったく“変化”もしていきません。


 そして、最後に最も大切なことは、“するべき事”をするということを、きちんと意識しているかということです。目標や結果をただ追うのではなく“変化”を大切にするという意識を持つと同時に、そのために“するべき事”をするのだということをはっきりと意識しなければならないのです。この意識するということこそが、この本を通して皆さんに訴えたいことの一つでもあります。


 ただし、これは普段から実行していなければ、試合の緊迫した場面で“するべき事”をするということに集中などできるはずがありません。常にそのような意識を、バスケットボールを離れても、日常の生活の中で実践していなければなりません。このことを“心の習慣”と呼んでいますが、それを身につけてこそ、大切な場面であなたが望む目標を達成するという結果が、初めてやってくるはずです。




 インターハイ神奈川県予選の決勝リーグ第一戦、海南大附属と戦う湘北高校は前半、主将の赤木(ゴリ)の負傷退場で大ピンチに。ここで、ゴリの代わりにゴール下を任されることになった桜木花道は「オレに今できることをやるよ!!」(第13巻75㌻)と決めてゴリの穴を埋める活躍を見せるのです。
 花道の場合、“するべき事”は3ポイントシュートでもドライブインでもなく、リバウンドであるということを理解し、そしてそれを実行することなのです。これをきっかけとして流川も自分の“するべき事”を一つひとつ行ない、そのことだけに集中していった結果、一時15点開いていたリードをつめ、前半を海南大附属相手に同点で終えるという“結果”がついてきたのです。



 皆さんも今一度“するべき事”をするということに意識を置いてみてはいかがでしょう?今までとは違った何かが見えてくるはずです。