チームの目標は全員が共有すること


  チームで目標に向かって努力していくということは、どんなに多くの人がいようとも、達成されるべき目標は一つです。全員で頑張って一つの勝利、全員で努力して一つの結果が得られるものです。つまりチームの目標は、全員に共通したものであると同時に、一人ひとりのものになって初めて達成されるものだということを忘れてはいけません。


 前回、船に乗ってオールを漕ぐということを例にあげましたが、全員がそれぞれ貴重な一年という時間を費(つい)やしていくわけですから、まず自分の乗る船の行き先(目標)を理解する必要があります。この船でアメリカまで行くのか、アジアへ行くのか、それとも伊豆へ行くのか、はたまた行き先が決まっていないのか?


 例えばチーム一人ひとりの目標が理解されず、不一致のまま船出をするとしましょう。コーチやキャプテンがアメリカを目指している一方で、伊豆でいいと考えている他の部員がいれば、どうなることでしょうか?


 大海に出たときに嵐でもこようものなら、内部分裂するのは必至です。部員たちは「なんで、こんな思いまでして、アメリカまでいかなきゃならないんだ! 俺たちは伊豆の温泉でよかったんだ」となるのは当然です。


なぜなら、船出の瞬間から伊豆まででいいと考えている部員にとって、アメリカまで行く課程は、我慢ならない苦しみでしかないからです。逆に、伊豆まで行けばいいと思っている船にやる気十分の新入生が入ってくれば「なぜもっと遠くを目指さないんだ」ということになるでしょう。


 ですから、船出の際にしっかりと全員で話し合い、チーム全体で目指す目的地(目標)はいったいどこなのかということを、明確にし合うことが大切なのです。