“不言実行”ではなく“有言実行”


 “根拠”に頼らない目標設定とイメージに加えて、もう一つ大切なことがあります。



 インターハイ2回戦、山王工業に立ち向かう花道は、公衆の面前で大きく負けているにもかかわらず、プレス席に立って「ヤマオー(本当はサンノウ)はオレが倒す!!」と宣言しています。(第27巻5㌻)ゴリやリョータが審判に謝る中で花道はチームメイトに「これで勝つしかなくなったぜ」とつぶやくのです。(第28巻11㌻)これが、いわゆる有言実行です。


  今までの日本では、不言実行が美徳とされてきました。しかし、これほどネガティブ・シンキング(消極的思考)な言葉はありません。私から見れば「もしうまくできなければ、恥ずかしいので言わないでおこう」「もしうまくいったらその時はじめて言ってみよう」という考え方に写ります。これが結果がすべてで、その過程や変化(理想の自画像に近づく状態)が注目されていない、それこそ勝つためにふさわしい考え方ではありません。


 花道のように宣言した上で、目標の実現化をはかるのです。言葉にすることで、目標に対する責任をとるという自覚が生まれてきますが、なによりも大切なのは、実現のために努力し、行動するということにつながる点です。たとえそれが実現できなくても決して恥ずかしいことではありません。そのために努力し、行動し、変化したのなら、堂々と胸を張っていればよいのです。むしろ目標を持っていなかったり、そのための努力をしなかったり、結果ばかり重視して、実際には何も変化していないほうが、よっぽど恥ずかしいことなのです。 



 さあ、ゴリのように自分自身、自分たちのチームの目標を持ちましょう。そして、花道のように有言実行にトライしてみましょう。二度と来ない今を、バスケットボールに費やすのなら。