「こうなりたい」という目標を持ち続ける





 あなたはしっかりとした目標設定をしていますか? 


勝つチームと負けるチームの差は、そのチームにふさわしい、ハッキリとした目標を持っているか否かの差であると言われます。たとえ負けの込んでいるチームでも、初めから負ける目標を立てて、試合に臨んでいるわけではありません。目的地が決まっていなければ、どんなに頑張ってオールを漕いでも、船はどこにも着きません。しかし実際にはオールを漕ぐこと、プレーしたことからくる肉体的疲労を感じるだけで何かを達成した気になり、それで満足したしまうという選手やチームが、実に多いのです。


  では、目標を設定する上での、いくつかの原則について述べてみたいと思います。


 まず、目標はただ与えられるものではなく、自分やチーム全員で目指す「こうなりたい」というもの、言い換えれば理想の自画像のようなものを、ポジティブな(積極的な)姿勢で持つことでしょう。例えば「40分間、早いトラディションを展開できるチームにしたい」とか「得点力がない分、執拗なディフェンスで相手に嫌がられるチームになりたい」という、主体性のあるものです。


 普通、目標を立てるというと、自分たちが「こうなりたい」ということよりも、先に“根拠(ここでは過去の数字的な実績や現在のおかれている環境と状況)”を探して「昨年はベスト8だから今年はベスト4」「来年はいい新人が入るから、優勝を狙う」という形で目標を決めてしまいがちです。もちろん、“根拠”を元に設定するのが一概に悪いというわけではありませんが、これは消極的な設定といえます。


 しかし実は「こうなりたい」という目標を持ち続けていた方が、すぐにその目標を達成できるかどうかは別として、必ずそれを実現するための“根拠”が後からついてくるものなのです。“根拠”のある目標を先に設定してしまうよりも、あなたが目指す理想像を目標として立てることが大切なのです。



 湘北のキャプテン赤木は今年の目標を「全国制覇」とみんなの前で明言しています。(第1巻173㌻)。彼は湘北高校に入学したときから、まったく、“根拠”がない(同じ目標を共有したり、それを成し遂げるだけの実力のあるチームメイトがいなかった)にもかかわらず「全国制覇」と叫び続けていました。彼の考え方や行動は常にこのためにあり続け、決してあきらめることはありませんでした。すると不思議なことに3年になるとスーパールーキーの流川が入り、中学時代MVPをとったこともある三井やリョータが戻り、そして花道までもが加わり、“根拠”が後からついてきて、目標が現実のものとして見えるようになってきたのです。


 あなたは自分の目標を「人にこういわれたから」「根拠や常識から見て、この程度だ」という消極的な姿勢で立てていませんか? 積極的な姿勢なしに目標の実現はないのです。


 もちろん、ただ単に目標を立てるだけでは実現しません。それと同時に、目標を達成したときの素晴らしさをイメージすることも必要になってきます。


 「常勝」と呼ばれるチームが毎年勝つことができるのは「いい選手がいる」「昨年優勝した」「またいい選手が入ってくる」などの“根拠”があるからではありません。「その目標を達成したら、どんなに素晴らしいのか」を知っているからで、だからこそ再びその実現に向けての“根拠”を作るよう、精一杯努力するのだと言われてます。 


つまり“根拠”がなくても、しっかりとした目標設定と、目標を達成したときのイメージが、湘北のゴリ(赤木)のように強くできていれば、実現性はさらに高まることになるのです。